名演から学ぶ、ジャズアドリブ研究

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"Moritat" by Sonny Rollins

 名盤「サキソフォン・コロッサス」から、当時26歳のロリンズが残した名演を取り上げてみましょう。原曲はドイツの作曲家クルト・ワイル作で「マック・ザ・ナイフ匕首マッキー)」のタイトルでもおなじみです。

 テーマメロディやコード進行がシンプルなので、「枯葉」と並んで最初に覚えるジャズスタンダードとして最適でしょうね。

 この曲における緩急自在なロリンズのソロは、20代半ばで既に完成の域に達しています。彼の演奏はいつもどこかに「ユーモア」や「余裕」を感じさせるところが、多くの人を惹き付けてやまない理由でしょう。

 しかし決して道化的なユーモアではなく、聴く者全てを抱擁するかのような懐の深さ。まさに名演ですね。

 keyはB♭メジャー。テナーサックス用の移調譜ではkey=Cメジャーになります。

 動画のコピー譜は市販の楽譜とコード付けがかなり異なっています。大きく違うわけではありませんので、まあ問題ないでしょう。基本的にCダイアトニックコードだけで構成された曲です。

 ソロに入って9~11小節の部分を見てみましょう(0:58~1:02)。

 

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 動画の譜割りとは少し違いますが、こちらの方がより正確なはずです。

 Am7のフレーズでは長6度のF#、長7度のG#がありますので、ここはメロディックマイナーを吹いているというのが分かります。

 ロディックマイナーは下降形ではナチュラルマイナースケールを使うべしとされていますが、ここでのロリンズは下降形でも普通にメロディックマイナーを吹いています。こういうメロディックマイナーの使い方を「ジャズマイナー」と呼んだりしますね。

 次に15~17小節のフレーズです (1:06~1:10)。

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  1コーラス終わって最初のコードに戻るターンバックの部分ですね。

  A7ではルート音の半音上から始まるディミニッシュスケールを弾いています(ここではB♭ディミニッシュスケール)。これが結果的にA7の3度C#、5度E、短7度G、さらに♭9thのB♭というコードトーン+オルタードテンションという構成になるわけです。

 29~30小節のⅡⅤフレーズを見てみましょう(1:26~1:30)。

 

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 それほど変わった音使いはしていませんが、Dm7の2拍目裏のAから3拍目の9thテンションEへ、またG7の1拍目裏のDから2拍目のCへというようにどちらのコードも音が跳躍し、その後滑らかに下降していくという形でフレーズを揃えています。

 これはアドリブ演奏の際に意識するべきポイントです。闇雲に音を垂れ流すのではなく、フレーズの形や譜割りに意識を配るだけで演奏に表情や奥行きがでます。

 上手い人の演奏するフレーズが「歌って」いるのは、この辺に理由があるのでしょうね。

  

 「moritat」のコード、スケールの分析はこちらです。

 http://loopin.hatenablog.com/entry/2016/07/10/173758

 

 

 

 

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 また音楽理論を本格的に勉強したい方のために理論書を作りましたので、興味のある方は御一考を。

loopin.hatenablog.com