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名演から学ぶ、ジャズアドリブ研究

~脱初心者を目指す方へのジャズ研究ブログ~                                                              

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音楽理論講座(15)~ジャズの基本にして究極 ⅡⅤ進行~

前回お話したように、ドミナントモーションはⅤ7(D)がⅠM(T)に進行すると

 

  • V7のコード構成音である3度と7度のトライトーン音程が、ⅠMのコード構成音である1度と3度に半音で進行する 

         ⇒トライトーンの解決 

  • Ⅴ7のルート音がⅠMのルート音に5度下降(=4度上行)する

         ⇒5度進行(強進行)

 

という2つの要素によって成立するというものでしたね。しかしジャズではこのⅤ7→ⅠMという進行の前にサブドミナントに属するⅡm7を置くことが半ば常識になっています。

 

Ⅱm7はサブドミナントコード(SD)であるⅣMの代理コードです。これがなぜⅤ7の前に来るのか?Cメジャーキーで説明すると、これはDm7(Ⅱ)→G7(Ⅴ)という進行のルート音が5度進行になっているからで、同じSDのFM7(Ⅳ)→G7(Ⅴ)だと5度進行が成立しないからです。

 

同様の理由でDの代理コードであるBΦ7(ⅦΦ7)が使われないのも、サブドミナントコードからの5度進行が成立しないからというわけですね。

 

付け加えると、SDコードにはダイアトニックスケール上のⅣ音(CメジャーキーではF)が存在します。

        

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このⅣ音Fはトライトーンの一方の音で、サブドミナント特有の淡い不安定感の理由となる音です。これがドミナントコードに進行するとトライトーン(CメジャーキーではFとB)を形成し、強い不安定感、緊張感を感じさせ、最後にトニックの安定感、解決感で一件落着、という事になります。

 

 f:id:loopin:20160827153934j:plain

 

つまりサブドミナント代理のⅡからドミナントのⅤへ、という進行によってトライトーンが徐々に形成され、同時に5度進行するルート音がトライトーンの形成を強い進行感によって補強する役割を果たします。これをⅡⅤ進行といいます。

 

トライトーンを持つドミナントコードが突然現れるよりも、サブドミナントを前に置くことでよりコード間の繋ぎが滑らかになり、よりトニックへの解決を強く促すことになるわけですね。

 

このⅡⅤ進行はジャズの最大の特徴であり、ジャズをジャズたらしめるアイデンティティーのようですらあります。この進行を覚え演奏できてやっとジャズの醍醐味が味わえるでしょう。

 

これを12のキーで覚えるためには、5度進行の際に説明した5度圏の図が有効です。

 

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Cが時計盤でいう0時にありますね。

これをトニックとすると左隣りのGはドミナントG7、そのさらに左隣のDはDm7とするとこの部分はCメジャーキーのDm7(Ⅱ)→G7(Ⅴ)というⅡⅤ進行になります。

 

同様に3時の位置にあるE♭をトニックにすると、左隣のB♭、その隣のFはE♭メジャーキーのFm7(Ⅱ)→B♭7(Ⅴ)というⅡⅤ進行です。

 

このようにして12のキーのⅡⅤ進行を割り出すといいでしょう。

 

 

 

 

 

 当ブログの内容や理論面で分からない事、疑問点などがあれば、是非ご質問下さい。

 また音楽理論を本格的に勉強したい方のために理論書を作りましたので、興味のある方は御一考を。

loopin.hatenablog.com

 

 

 

 

"Summertime" コードとスケール分析

この「サマータイム」は1935年、ほぼ黒人役者のみによって上演された画期的なミュージカル「ポーギーとベス」の挿入歌であり、後にジャズという枠を超えて多くの音楽家による名唱・名演を生んだ、まさにスタンダードというにふさわしい曲です。

 

作曲者ジョージ・ガーシュウィンは1937年に亡くなったのでかなり晩年の作品ですね。「バット・ノット・フォー・ミー」や循環進行という形式のコード進行を用いた「アイ・ガット・リズム」(循環進行を英語で「リズム・チェンジ」と呼ぶのはこの曲名から来ています)等、今もセッションで頻繁に演奏される曲を多く書き残した偉大な作曲家です。

 

この曲はコード進行が平易なので、その分独自のリハーモナイズを施した演奏例も多いです。まぁジャズではよくあることですが、この曲は特に定番のコード進行というのがあまりないようで、市販のスコアを見ても結構バラバラです。

 

今回は手元にある、現在日本で売られているスタンダード集の中では最も有名であろう「スタンダード・ジャズ・ハンドブック」(伊藤伸吾編)、いわゆる「青本」にある譜面を参考にさせて頂くとします。

 

 

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16小節1コーラスでFmキーです。最初の1~4小節は

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トニックマイナーが4小節続きます。これだと動きが無さ過ぎるので

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ⅡⅤ進行を間に挟むこともあります。青本にはFm→FmM7→Fm7→Fm6とルート音から6度まで半音進行するクリシェになっています。これもこの曲の楽想にとてもあう進行だと思います。

 

続いて5~8小節は

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最初のB♭mとD♭MはFmキーのサブドミナントマイナーにあたるコードですが、この2小節だけB♭mキーに転調していると考える事もできます。Fmキーと考えれば

 

        B♭m・・・B♭ドリアン  

        D♭M・・・D♭リディアン

 

B♭mキーと考えれば

 

        B♭m・・・B♭マイナースケール 

        D♭M・・・D♭アイオニア

 

というふうにスケール選択の幅が増えます。

 

最後の13~16小節はA♭M7というFmの並行調であるA♭Mに移り、ここで一瞬だけ安堵感を感じさせる展開ですね。その後また  GΦ7 C7| Fm | というマイナーの進行で一つのコーラスを終えます。

 

この曲は転調がなく、ほとんどがマイナーのダイアトニックコードのみで構成されている点で「枯葉」と良く似ています。テーマメロディや曲の構成も複雑なものではないので、是非レパートリーに加えてみて下さい。

 

この曲のアドリブフレーズはこちらを参考にしてみて下さい。         

http://loopin.hatenablog.com/entry/2016/07/01/120827

 

 

 

 

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音楽理論講座(14)~5度進行と5度圏~

Cメジャーのキーでは、ドミナントモーションはG7(D)→CM7(T)という形になりますが、これを度数で表すとG7はCメジャーダイアトニックコードのⅤ度に当たるコードであり、CM7は1度です。

 

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この時ルート音に注目しましょう。GにとってCは4度上であり、転回すると(ひっくり返すと)5度下に存在する音となるわけです。

 

この5度下の音へ向かう進行を5度進行、又は強進行といい、とても綺麗につながる進行なんですね。

 

自然の音でも人間の声でも、全ての音は空気の振動によるものです。そしてある振動が別の振動を生み、それがまた別の振動を生み・・・という風に連鎖していきます。この最初の振動によって生まれる音が基音、それ以降の振動によって生まれる音を倍音といいます。

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つまり一つの音を出すとその音によって別の高さの音が発生するのですが、当然基音から離れていくにしたがって人間の耳には聞き取りにくくなっていきます。この倍音は最初の第一倍音がユニゾン(同音)、次の第二倍音がオクターブ上の音、そして第三倍音がオクターブ+完全5度上の音を発生させます(理論上はこの先も無限に続きます)

 

第三倍音まで聴きとるのは至難の業ですが、なぜ5度進行がスムーズに聞こえるのかは、この第三倍音の5度の音が要因です。

 

Cの音は基音に最も近い第三倍音が完全5度上のG音を発生させ、これが直前のG音との共通音となるためにきれいに連結するのです。第一、第二倍音は基音と同じ音なので、実質倍音は第三からといえるでしょう。

 

G→Cという5度進行はこの先ももちろん続きます。これを図式化したものが5度圏(cycle of 5th)です。

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この5度圏は時計回りに進み、12個目で元の音に戻ります。G→Cはその後Fに進み、B♭に・・・という感じで5度進行は続いていきます。

 

5度進行(強進行)は繋がりが滑らかであると同時に、前へ前へ進む力強さを楽曲に与えます。なのでドミナントモーションとは

         

      ・トライトーンの解決による解決感

      ・ルート音の5度進行による進行感

 

が合わさって生まれる効果なのです。そしてこれが終止形(ケーデンス)という、文章でいう所の句読点や段落感のようなパーツになり、音楽の起承転結やうねりを生むのです。              

 

 

 

 

 

 

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